最高裁判所第二小法廷 昭和24(オ)208 判決
主 文
原判決を破棄する。
本件を福岡高等裁判所に差戻す。
理 由
上告代理人弁護士村岡吾一、池田光四郎の上告理由は末尾に添附した別紙記載の
とおりである。
第一、二点について。
原判決が「本件金一二万円の消費貸借は訴外D、E両名と控訴人(被上告人)間
の取引により被控訴会社(上告人)F造船所の借主名義を以て行われたものである
ことは当事者間に爭がない」と判示していること所論のとおりであつて、本件記録
によれば、上告人が原審において本件消費貸借が上告会社F造船所名義を以て行わ
れた事実はこれを爭い、上告会社は本件消費貸借には無関係である旨を主張してい
ることが明らかであるから、原判決は当事者間に爭ある事実につき、これを爭なき
ものと判示しているものといわざるを得ない。しかも原判決は本件消費貸借につい
て「DもしくはE側としては兎もあれ控訴人(被上告人)としてはDを代理人とし
て被控訴会社(上告人)との間に貸借したものといわなければならない」と判示す
るに止り、他に右Dが上告会社の代理人として被上告人との間に本件消費貸借を締
結した事実については何等証拠により認定しているところはない。従つて右事実を
認定することなく直ちに「控訴人(被上告人)との間に被控訴会社(上告人)の代
理人としてなしたDの前記金一二万円の消費貸借は同人の代理権超過行為に外なら
ないもの」と判示して被上告人の請求を容認した原判決は、結局当事者間に爭ある
前記前提事実を確定することなく民法第一一〇条を遡用したものであつて証拠によ
らないで事実を認定したものでなければ、理由不備の違法があるというの外なくこ
の点において上告は理由あるに帰し原判決は破棄を免れない。
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よつて、その余の上告理由に対する判断を省略し原判決は全部破棄すべきものと
認め民訴第四〇七条により主文のとおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
この判決は裁判官全員一致の意見である。
裁判長裁判官 霜 山 精 一
裁判官 栗 山 茂
裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
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